スクール情報

SCHOOL

スクール活動方針

1. 陸上競技を通じて健全で豊かな心と身体を育む

陸上競技を通じて運動能力を高めるとともに、考える力や情緒面などの発達を促す。また、スクールでの集団行動や交流活動、地域間交流などを通じてのコミュケーション能力を向上させる。さらに、各種身体運動の特性や魅力に触れたトレーニングプログラムを実施し、スポーツの素晴らしさを理解させる。

2. 年齢に応じたトレーニングを実施することにより、スポーツにおける基本スキルを習得する

発育発達段階を考慮したトレーニングプログラムを実施し、陸上競技(スポーツ)の種目特性に応じた基本的スキルが身に付くよう指導をする。また、基本的スキルの知識理解が深められるようにも各年代にあわせて指導をする。

5~8歳頃(プレ・ゴールデンエイジ期)

次にくるゴールデンエイジ期の前段階として大切な時期で、様々な動きづくりやスポーツ・運動を行うことによって、神経系の回路を出来るだけたくさん作っておき、特にスポーツに関連した動作の習得や調整力(リズム、バランス、タイミング、巧緻性、協応性など)を養成しておくことが重要。神経系はトレーニングや運動経験によって一度神経回路が作られると、その後ほとんどトレーニングを行わなくても消失しにくいため、早い時期(児童期)に運動やスポーツに関する基礎的な動作やスキルを獲得しておくことが必要である。

9歳~12歳頃(ゴールデンエイジ期)

「即座の技術習得」が最も可能な時期。この時期は「大脳の可塑性(脳・神経が柔らかいこと)」と「筋・骨格系、動作習得のレディネンス(準備性)」の両方が高い水準で整っているために、動きやあらゆるスキルの習得が、容易に行える生涯唯一の絶好機である。指導者はこの時期を見逃してはならず、いろいろなスポーツやゲームを行わせたり、陸上競技の走・跳・投の様々な動きやスキルを、正しく身に付けさせるよう指導することだ。この時期におけるスポーツや陸上競技の多種目の技術の習得は、後になって専門種目の技術を向上させる上で非常に役に立つことになる。

13歳~15歳頃(ポスト・ゴールデンエイジ期)

ホルモン(成長ホルモン、性腺ホルモン)の多量な分泌により、「思春期(第二次性徴)」を迎える。身長のスパーク期と一致するので、十分な休養や睡眠をとり、発育を最大限重視するとともに、柔らかく弱い骨や関節を酷使しないよう配慮してトレーニングを進めることが必要だ。さらに13~14歳頃までに、速筋線維の発達に伴い、「敏捷性」が急激に発達する。また「呼吸循環器系」機能も発達するので、「持久力」の養成においても効果的な時期。動作習得では「クラムジー」と呼ばれる一時期の現象がある。身長が急激に伸びるために、身体の支点・力点・作用点に狂いが生じ、動きや技術にぎこちなさが出てくるものだ。そうした時は焦らず、しっかりと動きの修正や調整を図ることが必要。

3. ジュニアスポーツの普及とトップアスリート候補選手の育成

小学生期では、陸上競技の専門性に特化することなく、スポーツ全般の基礎となる運動能力の向上を目指し、ジュニアスポーツの普及と啓蒙を図る。中学生期では陸上競技の専門的指導を取り入れ、トップアスリート候補選手の育成をする。年齢に応じた指導プログラムを行い、「勝利至上主義」による「オーバートレーニング」や「バーンアウト症候群」を避け、生涯にわたって陸上競技(スポーツ)に親しんだり、トップアスリート選手を輩出できる環境と指導を追求し実施する。

参考資料

日本陸上競技連盟ジュニア期における参考データ

■ 小・中学校時代の競技成績にこだわりすぎていませんか?

  • 日本代表選手には、相対年齢効果の影響がほとんどみられませんでした。(図-①)
    ※同じ学年における誕生日(実年齢)の相対が、学業やスポーツの成績などに与える影響のことを「相対年齢効果」といいます。
  • 一方で、小・中学校期では生まれる月の偏りが大きく、高校期以降にもその影響が残る傾向が見られました(図1-②)
  • 年度の上半期生まれ(特に1~3月生まれ)の子どもたちの自己効力感が育ちにくい状況にあることや、将来性のある才能が早期にドロップアウトしているおそれがあります。早生まれの競技者を含む“晩熟型”のドロップアウトはもとより、早期に高いレベルに達成した“早熟型”の競技者のバーンアウトにも十分に配慮する必要があります。
    ※自己効力感:自身の向上可能性への期待感や信頼感、有能感

陸上競技に関係するすべての指導者、競技者および保護者が、「小・中・高校期のすべての競技者が大切なタレントである」という認識を共有するとともに、特に小中学校期の競技成績(差)による将来性の評価や選抜(セレクション)には慎重を期する必要があります。

■ 日本代表選手は、子どもの頃からトップレベルだったのでしょうか?

日本代表選手の陸上競技実施率および競技レベル

競技間 種目間
小学生→中学生 92% -
中学生→高校生 30% 55%
高校生→学生・実業団 2% 32%

日本代表選手の競技間・種目間トランスファー

実施率 全国大会
出場 入賞以上
小学校期 16.3% 3.8% 1.9%
中学校期 79.8% 40.4% 20.2%
高校期 98.1% 79.8% 61.5%
  • 他競技から陸上競技へ参入する「競技間トランスファー」経験者は、小→中で約9割、中→高で約3割でした。 ・陸上競技内の「種目間トランスファー」経験者は、中→高で約半数、高→学生・実業団で約3割と、日本代表選手の多くがトランスファーを経験していることがわかりました。
  • 小学校期では、複数の競技実施者を含めた陸上競技実施率は約1割未満でした。
  • 中学校期では陸上競技を中心に実施していたのは約7割、別競技または複数競技を実施していたのは約2割、全国レベルの大会出場者は約4割にとどまっていました。
  • 高校期では、ほぼ全員が陸上競技を中心的に実施し、約8割が全国レベルの大会に出場、約6割が入賞していました。
    ※競技間トランスファー:サッカーから陸上、水泳から陸上など、全く違う競技から競技へ変更すること。
    ※種目間トランスファー:陸上競技の短距離種目から長距離種目、短距離種目から跳躍種目など、同じ競技の中で種目を変更すること。
  • 2004年アテネオリンピック大会参加競技者についてその種目を専門にした年齢を見てみると、陸上競技は専門化が遅い種目であることがわかりました。
  • 単一種目の早期専門化については、弊害が指摘されるようになってきていますが、特に陸上競技には、早期からの専門化はなじまないと考えられます。

日本代表選手の多くが、小学校期には陸上競技以外のスポーツや運動遊びを盛んに行い、中学校期から本格的に陸上競技を開始し、高校期以降に種目間トランスファーを行ってオリンピックや世界選手権に出場していることから、特に小中学校期には多様な種目を経験し、高校期以降に最適な種目を模索するプロセスが重要であるといえます。

■ 一人でも多くの競技者に少しでも長く陸上競技を続けてもらうために

  • 本来、相対年齢効果は、年齢を重ねるにつれて小さくなって最後は消失するはずですが、現状では、競技を続けるか否かの判断(動機づけ)を含め、シニア期にいたるまで影響を及ぼしていると考えられます(図1参照)。
    中学校から高校に進学する際に、陸上競技を継続する割合が30~40%にとどまるという事実(図5参照)には、そのことが少なからず影響していると考えられます。

小・中・高校期のすべての競技者が大切な「タレント」です

①タレントプールの拡充

小中学校期は、発育発達の個人差が大きい時期であることから(図1参照)、競技成績の優劣にはこだわらずに、様々な種目の経験を通した陸上競技の「楽しさ体験・経験」を重視しましょう。

②タレント育成の充実

日本代表選手の約6割は中学時代に全国大会に出場していないなど、競技者の将来性を予測することは少なくとも高校期以降でなければ難しいことから、特に中学→高校への競技継続を意識した競技育成(指導)を目指しましょう。

③タレントトランスファーへの発展

日本代表選手にはトランスファー経験者が多く(表1・2参照)、国内外トップ競技者の自己ベスト記録も20歳代半ば以降に達成される傾向にあることから、高校期以降も最適種目の選択(トランスファー)を積極的に促しつつ、息の長い競技者育成を目指しましょう。

  • 以上を踏まえて、日本陸上競技連盟では、小中学校期における「運動有能感を高める指導」や「多様な種目の経験」をベースとするタレントプール(競技者数)の拡充、中高高校期のタレント育成(指導者・指導法)の充実、そして高校期以降のタレントトランスファー(最適種目の選択)への発展という、普及・育成・強化への連続性を意識した競技者育成指針お呼び育成プログラムの作成を目指します。

当スクールでは子どもの運動における発育・発達の理論に基づき、ジュニア期にスポーツの基礎となる身体の使い方、巧みな動きを中心に運動が楽しく、好きになるプログラムで活動を行っています。 また、競技成績が高校生期まで生まれ月の影響を受けやすいことから、運動有能感(できる!)を高める指導を継続的に行い、将来「運動が好き」「陸上競技を続けたい」と、思う子どもたちを増やす指導を展開します。小学校期にスポーツの基礎となる多様な運動を経験させているため、中学校期から高校期にかけての競技間・種目間トランスファーにも対応しやすい能力を身に付け、将来陸上競技や他競技で活躍できるスポーツの基礎・土台を作ります。中学校期は専門性・競技性を高め、目標記録の達成や大会での活躍を目指すプログラム活動を行っています。